こんにちは。6月、あまりの暑さに子どもたちと遊んでいる時に「一旦休憩!」と避難しちゃうノボルです。
教育、子育てを共育=「大人も子どもも笑顔になる」と捉えて、頑張っている若手先生や子育てと仕事の両立に悩むママパパさんの力になりたいと発信しています。
今回は、「着衣水泳指導」です。どの学校でも、水泳指導の最後に着衣水泳指導は行っていますよね。
でも意外とこの「着衣水泳指導」って何をすればいいのか?もしくは、「これで本当にいいのか?」と悩みながら指導している先生も多いではないでしょうか?
この記事では、着衣水泳指導を安全にかつ誰でも指導できる形を紹介します。
この記事はこんな先生に読んでほしいです。
着衣水泳指導って何をすればいいのかわからない先生
着衣水泳指導を初めて指導することになった先生
体育主任をしていて、各先生方に着衣水泳指導のイロハを伝えたい先生
この記事を読めば、着衣水泳指導を自信をもって安全に取り組むことができます。
まずは、ノボルの自己紹介から!
- 『大人も子どもも笑顔になる』がモットー
- 現役小学校教師11年目。1~6年全学年担任経験あり
- Q-Uによる学級満足度90%越え
- 教育、ビジネス、自己啓発などを中心に年間100冊以上の書籍を読破
- 義務教育学校経験。小学校に所属しながら中1社会を担当経験
- 学年主任の経験
- 学級担任に加え、人権主担・生活指導部長・道徳推進教師など複数の校務分掌を掛け持ち
- 病休経験→働き方を見つめマインドを整え小学校教員として復活
- 娘と息子をもつ2児の父親『行動で示すカッコイイ父ちゃん』が目標
- 1年間の育短(週に3日勤務、2日を育休)経験
- 仕事と家事の両立をめざし、時短家事コーディネーター資格取得
- 30歳を機に、フルマラソン挑戦。以降、毎年フルマラソン参加。
よくある着衣水泳指導例 これって正解?
ボクは10年以上教壇に立ち、毎年のように(途中コロナ感染により水泳指導そのものが中止に・・)水泳指導・着衣水泳指導を行ってきました。
よくある着衣水泳指導は、こんな流れです。
- ①靴と服を着たまま泳がせ、「泳ぎにくい」を実感させる
- ②基本的には「浮いて待て」を教える。ラッコ泳ぎをさせる
- ③教師が落水して、もう一人の教師がペットボトルなどの浮遊物を投げ入れ、浮いて待つを実際に見せる
- ④子どもたちにもさせる
- ⑤服を脱いで泳がせ、「泳ぎやすい」を実感させる
でも、ここで考えてほしいのですが、
これだと、
「着衣水泳」=「着衣で水泳する大変さを知る学習」になっていませんか?
「毎年やるから、またか・・」と子どものモチベーションが下がることも。
そんな時には、この記事が役に立ちます。
着衣水泳は1回しかないし・・と考えてしまいがちですが、子どもの命に直結する大事な学習機会です!
「着衣水泳」で子どもが身につけるべきスキルとは?
では、本当に身につけるべきスキルとは何でしょうか?
ボクは、「着水した時に自分がどうすべきかの選択肢を知り、最適な判断ができる」だと考えています。
ニュースでも報道されていますが、実際に水難事故に遭ったケースでは着水した人を助けようと飛び込み、ともに命が・・というケースもあります。
そこで、子どもたちには「着水した時」だけでなく、「着水した人を見た時」のシチュエーションも想定し、さまざまな選択肢の中からどの選択肢が最適かを考えるきっかけになればと考えています。
1回の体験では全てはできませんよね(笑)なので、例えば「夏休みの過ごし方」プリントを配布する時にも考えるなどで、その都度話したり考えたりするのが効果的です!
では、具体的にどんな授業を行えばいいのか?
今回は、小学校1年、2年を対象にした着衣水泳指導の流れを紹介します。
1・2年を知ることで、中学年・高学年と実態に合わせて段階的に指導することができます。
目標
① 着衣のままでは、水の中を動きづらいことを確認する。
② 溺れた人を見たら何をすればいいかを知る。
③ 自分が溺れてしまったら何をすればいいかを体感する。
④ 呼吸を確保して、助けを待つことが大切だとわかる。
当日の流れについて
時間 | 活動 | 留意事項 |
各学年・学級でプールまで移動 | 担任の先生で移動をさせる。 | |
5分 | ①水筒・タオルをプール指導と 同じ場所へ置く。 ②体育館シューズを履いたまま、プールサイドへ行って整列。 ③準備体操 | ①、②は担任の先生中心に、 ③は指導者が進めます。 |
5分 | 見学の子が座っている場所付近のプールサイドで各クラス2列で並ぶ→ 学習内容の確認 発問 服を着たまま水の中に入ってしまうときって、どんな時? →池・川などで遊んでいるときに足を滑らせてしまう。 今日はそんなときにどうするか、服のまま水の中に入ったら、どうなるかを学習します。 | |
8分 | 寸劇 転落~背浮き~救助を求める (想定) 「友だちと一緒に川へ遊びに来ていた。珍しい魚がいてのぞき込もうと身を乗り出したら、そのまま転落。友だちはペットボトルを投げてじっと待つように指示する。」 (近くの大人が駆けつけて終了) | |
溺者:〇〇T 友だち:〇〇T (溺者に励ましの言葉をかけながら、大声で大人を呼ぶ。) 大人:〇〇T 〇〇T (大人は友だち役が呼びに来るので、呼ばれた段階で駆けつける) (指導事項) ①子どもだけで、池や川に近づかない。 ②おぼれている人を見つけても、助けに水の中へ入らない。 ③おぼれている人がいたら。大人に助けを求めに行く。 ④水の中では服を脱がない!! 「ういて待て!!」 | 【背浮きのポイント】 ①体の力を抜く ②背筋を伸ばす ③足を軽く開き、バランスをとる ④手は大の字 【浮き具を使って・・】 ・浮き具はおなかの あたりで持つ (浮きやすくなる) 【友達ができること】 ①「大丈夫だよ!」 「がんばれよ!」 とにかく励ます! ②浮き具を渡す (ペットボトルの場合) ・溺者の腹部あたりに着水するよう、アンダースローで投げる。 ・ペットボトルは空にしてから投げ入れる (投げたときに勢いがつき、溺者にとって危険があるため) | |
5分 | シャワー→バディ確認 | |
10分 | 活動① 1年→2年の順番で1列ずつ服・体育館シューズを履いて入水。 行き:歩く 帰り:走る | |
10分 | 活動② 浮く練習をする。 | 【背浮きのポイント】を伝え、実際に体感する。 ・足が床についても、何回も試みるよう指導。 ※先生方で子どものフォローをお願いします。 |
活動③ バディでシチュエーション。 自分は何をするのがいいのかを経験する。 判断する。 体操服上下を脱ぎ、ビニール袋に入れる →各学年のプール指導 | ||
整理体操→シャワー |
今回は1・2年生対象だったので、着衣しながらの泳ぎの大変さや「浮いて待て!」の体験などを丁寧に行いましたが、本来するべき活動は③です。
バディで③を体験してみて、何が最適な判断かを経験し、話すことで水難事故に遭遇した時にリスク軽減に大きくつながります。
特に活動③を試すことが大事です。大人が多い状況でいかに経験しておくか。
まとめ
いかがだったでしょうか。指導に困りがちな着衣水泳指導のイメージは掴めましたか?
- 「着衣水泳」=「着衣で水泳する大変さを知る学習」になっていませんか?
- 子どもが身につけるべきスキルとは「着水した時に自分がどうすべきかの選択肢を知り、最適な判断ができる」スキル
小学校における着衣水泳指導は、多くの重要な意義を持っています。まず、日常生活で予期せぬ水難事故が発生した場合、子どもたちが衣服を着たままでの泳ぎ方を学ぶことで、命を守るためのスキルを習得できます。
普段着のまま水に入る状況は、実際の事故に近く、より実践的な訓練となります。また、着衣水泳を通じて、水の危険性や安全対策についての意識が高まり、自己防衛力が向上します。
さらに、実際に体験することで恐怖心を和らげ、冷静な対応ができるようになることも期待されます。
ボクも毎年のように指導してきましたが、これといった答えがないのが着衣水泳指導。
先輩にご指導いただき、書籍を漁り、試行錯誤を繰り返してきて今があります。
教える側にとっては難しい指導ですが、だからこそ積極的に取り組むことが重要です。
ボクにとっても、まだまだ完成形ではないと思っています。
みなさんの中にも「こんな着衣水泳指導があるよ!」「こちらの方がいい!」というご意見があれば教えてください。
以上、「困っていない?小学校体育 着衣水泳指導」という話題でした。
ほいじゃあね~👋